ヨハン·フェルメール

ヨハン・フェルメールは、レンブラントと並び17世紀のオランダ美術を代表する画家。生涯のほとんどを故郷デルフトで過ごした。最も初期の作品の一つ『マリアとマルタの家のキリスト』に見られるように、彼は初め物語画家として出発したが、やがて1656年の年記のある『取り持ち女』の頃から風俗画家へと転向していく。静謐で写実的な迫真性のある画面は、綿密な空間構成と巧みな光と質感の表現に支えられている。現存する作品点数は、33~36点と少ない。このほか記録にのみ残っている作品が少なくとも10点はある。人物など作品の中心をなす部分は精密に書き込まれた濃厚な描写になっているのに対し、周辺の事物はあっさりとした描写になっており、生々しい筆のタッチを見ることができる。この対比によって、見る者の視点を主題に集中させ、画面に緊張感を与えている。『レースを編む女』の糸屑の固まり、『ヴァージナルの前に立つ女』の床の模様などが典型的な例として挙げられる。少女の髪や耳飾りが窓から差し込む光を反射して輝くところを明るい絵具の点で表現している。この技法はポワンティエと呼ばれ、フェルメールの作品における特徴の1つに挙げられる。また、フェルメールの絵に見られる鮮やかな青は、「フェルメール・ブルー」とも呼ばれる。この青は、天然ウルトラマリンという顔料に由来している。

(1632年10月31日 – 1675年12月15日)

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